【会計士キャリアの最新事情】過去10年で受験者倍増/合格者の半分が学生/50年連続で慶應がNo1/コンサル、M&A、独立が増加/7年目で年収1000万円/憧れはCFO/日本以外でも働ける/AIの影響
【会計士キャリアの最新事情】過去10年で受験者倍増/合格者の半分が学生/50年連続で慶應がNo1/コンサル、M&A、独立が増加/7年目で年収1000万円/憧れはCFO/日本以外でも働ける/AIの影響
30秒サマリー
PIVOTの佐々木氏が、CPAエクセレントパートナーズ社長の国見英嗣氏に「会計士キャリアの最前線」を聞いた回。国見氏は、過去10年で受験者が約1万人から2万2,000人へ倍増し合格者の約半数が学生である現状、ビッグ4監査法人で7年目に年収1,000万円に達する給与カーブ、CFO・M&A・独立など監査法人外への早期キャリアチェンジの拡大、そしてUSCPAを軸としたグローバル展開と女性活躍の余地について、業界トップ予備校経営者の立場から見立てを示した。AIによる代替リスクについても国見氏は「7-8割の業務は置き換わるが、未開拓業務が大量にあるため仕事が消えることはない」との見解を述べている。
登壇者
- 佐々木紀彦(PIVOT CEO・モデレーター): 質問者として、受験動向・キャリアパス・年収・グローバル・女性活躍・AIへの影響を順に問う立場。会計士業界の認知拡大に対して「漫画化」「奨学金100人規模」など外部目線の提案も挟む
- 国見英嗣(CPAエクセレントパートナーズ社長/公認会計士): 公認会計士試験合格者の約6割を出すスクールを運営。元カリスマ予備校講師として5年教壇に立ち、大学卒業後すぐに起業。業界トップ予備校経営者として試験動向・キャリア多様化・グローバル展開を解説する立場
キーポイント
- 受験者数は10年で倍増、合格者も増加基調: 国見氏によれば、2015年に受験者1万180人・合格者1,051名だったのが、2024年は受験者2万1,573人・合格者1,603名、2025年は受験者2万2,000人超の見込み。コロナ期の在宅時間増加が押し上げ要因の一つだったとの見立て
- 合格者の若年化と学生比率の高さ: 国見氏の説明では、20代が合格者の約9割、平均合格年齢は20代前半まで低下。学生(大学院生含む)が約53%を占め、残り半分の社会人のうち約6割は勉強専念組
- 慶應大学が50年連続合格者数No.1: 国見氏によれば、商学部・経済学部の比率が高く、次いで早稲田、中央、明治、関西では同志社が上位。東大・京大は母数が少ないため上位層には少ない
- 監査法人の年収カーブと早期離脱の増加: 国見氏は、初任給は月33-35万円、6-7年で年収1,000万円程度、パートナー昇格(約15年)で3,000-4,000万円との数字を提示。一方で「3-5年で外に出る人が3-4割」存在し、コンサル・M&A・事業会社CFO・独立に分散
- CFO・CEOへの道が"花形キャリア"化しつつある: 国見氏は、上場企業CFOやCFO→CEO昇格パターンを花形と位置づけ、ロールモデルとしてGMOグループの安田氏、エアトリの柴田氏、マクロミル系のCEO千葉氏(元CFO)を挙げた
- 会計ファイナンス人材の供給は需要の3-4割という見立て: 国見氏は「需要10に対して供給3-4」と述べ、日本の会計士約4万人に対し中小企業の経理まで含めた会計ファイナンス領域は40万人以上の市場規模があると説明
- USCPAの戦略的選択肢: 国見氏によれば、USCPAは合格率約40%・勉強量は日本会計士の約半分。グローバルキャリアならUSCPAで十分通用し、日本のCFOでも実は隠れUSCPA保有者は多いとのこと
- 女性活躍とAIリスクの相対的低さ: 国見氏は、日本の女性会計士比率は10%台後半(受験生は20%超え)に対し、海外では約半数。AIについては「7-8割の業務は代替されるが未開拓業務が大量にあり、職種としてのリスク許容度は広い」との立場
詳細展開
試験制度と難易度の最新像
公認会計士試験は短答式(予選)と論文式(決勝)の二段階構造。国見氏の説明によれば、2010年代の制度改革で短答式が年2回(5月・12月)に増え、社会人や学生が受けやすくなった。短答式に合格すれば2年間は短答が免除され論文式に専念できるが、3回連続で論文に落ちると(業界用語で「三振」)短答からやり直しになる。
主張: 国見氏は「合格率自体は7-8%で昔と大きく変わらないが、受験者・合格者の絶対数が増えたため、相対的には昔より受かりやすい」との見立て
根拠・データ:
- 2015年: 受験者10,180人 → 合格者1,051名
- 2024年: 受験者21,573人 → 合格者1,603名
- 2025年: 受験者22,000人超見込み
- 論文式に絞った合格率は約30%強
- 三振率は公表されていないが「肌感覚で10-20%程度」と国見氏の推計
反論・異論: 佐々木氏は「2021-2022年で急増しているのはなぜか」と問い、国見氏はコロナ禍のロックダウンで学生・社会人ともに在宅時間が増えたことを主因と推定(断定はせず)
受験者増加と若年化の構造要因
主張: 国見氏は「終身雇用が崩れる中、若い世代が手に職としての国家資格に向かっている」「会計はグローバル共通言語なので海外でも働ける魅力がある」との見方を示した
根拠・データ:
- 合格者の20代比率: 約9割
- 平均合格年齢: 20代前半まで低下
- 学生(大学院生含む)の合格者比率: 約53%
- 社会人合格者のうち勉強専念組: 約6割
- 慶應大学が50年連続で合格者数No.1(商学部・経済学部中心)
- 続く大学: 早稲田、中央、明治、同志社(関西)
反論・異論: 佐々木氏「20代以外は無理ゲー、スポーツ選手みたいですね」に対し国見氏は「30代前半までであればビッグ4(EY・PwC・デロイト・KPMG)への入所は十分可能」と補足
監査法人の給与カーブとキャリア多様化
主張: 国見氏は「一昔前は監査法人に7-10年いてパートナーを目指すのが王道だったが、今は3-5年で外に出る人が3-4割に達する時代」との見立てを示した
根拠・データ:
- 初任給: 月33-35万円+ボーナス
- 6-7年目: 年収約1,000万円まで順調に上昇
- パートナー昇格: 約15年
- パートナー年収: 2,000万円台から、上位職位で3,000-4,000万円
- ライセンス取得には実務経験3年が必要(監査が無難だが、上場企業の経理・財務・企業分析等でも申請可能、ケースバイケース判断)
- 外に出る先: 戦略コンサル/IPOコンサル、M&A財務アドバイザリー、事業会社の経理財務(将来CFO志望)、独立(税理士登録+中小企業コンサル)
反論・異論: 佐々木氏「監査は守りの仕事で攻めたい人には向かないのでは」との指摘に、国見氏は「合う合わないはあるが両方重要」と一定の留保を置いた
CFO・CEOへの道とロールモデル
主張: 国見氏は「最近のCFO→CEO昇格は世界的にも増えており、日本でもCEOが憧れポジションとして浮上している」「自分の事務所を大きく育てる独立路線も花形の一つ」との立場
根拠・データ:
- ロールモデル例(国見氏が挙げた固有名詞):
- GMOグループ全体CFO: 安田氏(熊谷氏の右腕として活躍)
- エアトリCEO: 柴田氏(元CFO)
- マクロミル系のCEO: 千葉氏(元CFO、過去PIVOT出演)
- 大手独立事務所例: 山田&パートナーズ(上場済み、税務コンサル・M&A仲介がベース、グループ内に監査法人も保有)
- 国見氏は「会計士出身CFOはまだ全体の1-2割程度。叩き上げ財務出身が中心」と推定
反論・異論: 佐々木氏「ロールモデルがまだ少ないのが認知拡大のボトルネックでは」との指摘に、国見氏も同意し「もっと前面に出ていく発信が必要」と応答
需給ギャップとグローバル展開
主張: 国見氏は「日本は会計ファイナンス人材の供給が需要の3-4割しかない構造的不足にある」「アメリカの試験制度を参考にすべき」との見解を示した
根拠・データ:
- 日本の公認会計士: 約4万人
- 日本の会計ファイナンス人材総数: 40万人以上(中小企業経理・街の会計士スタッフ含む推定値、出典は動画内で言及なし)
- アメリカ: USCPA受験者約8万人、合格者約3万数千人/年
- USCPA: 合格率約40%、日本会計士の半分程度の勉強量
- USCPA日本人受験者: 数千人規模、増加傾向
- グローバル通用資格: USCPA・英国ACCAが二大選択肢
- インドの公認会計士: 約30万人 → 政府目標500万人へ拡大方針(中小企業含めて全企業に監査義務付けがある特殊事情)
- フィリピン・インドでもUSCPA受験者増加、CPA社はインドのスクールと連携模索中
反論・異論: 国見氏は「日本は試験制度改革で合格者を増やそうとした時期があったが、『受かったのに監査法人に入れない』という不満が出て元に戻した経緯がある」と、構造改革の難しさにも言及。また「日本の会計入口が"簿記"になっており、最初に借方/貸方から入るので99%が興味を失う。欧米のようにアカウンティング/ファイナンス的発想から入れるべき」との見立ても提示
女性活躍とライフスタイル適性
主張: 国見氏は「会計・監査は積み上げ型で女性に向いている職種」「ライフイベントで離脱しても復帰しやすい」との立場
根拠・データ:
- 日本の女性会計士比率: 全体で10%台後半、受験生で20%超
- 海外: 女性会計士が約半数の国も普通
- 女性向けキャリア例: 独立して週3勤務、社外役員/監査役、経理リモートワーク、転勤帯同先での仕事継続
- 女性会計士YouTuber/インフルエンサーが最近台頭
反論・異論: 佐々木氏が「奨学金100人規模を女性向けに出してパンフレット配布したらどうか」「ドラマ・漫画で会計士を題材化できないか」と認知拡大策を提案。国見氏は「会計士漫画は1-2作あったが感謝・監査は絵に動きがなくドラマ化しにくい。米国版『The Accountant』が日本版では『コンサルタント』に改題された事例がある」と業界の発信課題を認めた
AI時代の生存戦略
主張: 国見氏は「他業界と同様、現状業務の7-8割はAIに置き換わる。しかし未開拓業務が大量に残っているため、職種として消えるリスクは低い」との見解
根拠・データ:
- 国見氏が挙げた残存領域: 高度M&A、国際税務、企業ごとに状況が異なる個別判断
- 経理・FP&A・本格的CFO業務など「日本がまだ十分にできていない領域」が広大に残るとの見立て
反論・異論: 佐々木氏「会計士資格保有者がAIで失業する確率はかなり低いと言ってよいか」との確認に、国見氏は「全企業の経理が完全自動化される時代が来れば全職種危ないが、当面は価値の高い仕事は残り、むしろ広がる」と回答
重要な固有名詞・データ
| 項目 | 内容 | 文脈 |
|---|---|---|
| CPAエクセレントパートナーズ | 日本の公認会計士合格者の約6割を出すスクール運営 | 国見氏が社長、ゲストとしての肩書 |
| 国見英嗣 | CPAエクセレントパートナーズ社長、公認会計士、元カリスマ予備校講師(5年教壇) | 動画ゲスト |
| 慶應義塾大学 | 公認会計士合格者数50年連続No.1 | 大学別合格者ランキング |
| ビッグ4 | EY、PwC、デロイト、KPMG | 大手監査法人四大ファーム |
| 受験者推移 | 2015年10,180人 → 2024年21,573人 → 2025年22,000人超見込み | 過去10年の受験者倍増 |
| 合格者推移 | 2015年1,051名 → 2024年1,603名 | 合格者も増加基調 |
| 合格率 | 全体約7-8%、論文式単体で約30%強 | 国見氏提示の数字 |
| 監査法人初任給 | 月33-35万円+ボーナス | 国見氏提示 |
| 6-7年目年収 | 約1,000万円 | 順調昇進ケース |
| パートナー年収 | 2,000万円台-3,000-4,000万円 | 約15年でパートナー昇格 |
| 合格者年代構成 | 20代が約9割、学生(院生含む)約53% | 若年化トレンド |
| 三振率 | 公表なし、肌感覚10-20%(国見氏推計) | 論文3回不合格で短答からやり直し |
| 日本の会計士総数 | 約4万人 | 業界規模 |
| 会計ファイナンス人材総市場 | 40万人以上(出典は動画内で言及なし、国見氏推定) | 中小企業経理含む |
| 需給ギャップ | 需要10に対し供給3-4 | 国見氏の肌感覚評価 |
| USCPA合格率 | 約40% | 米国公認会計士 |
| USCPA米国受験規模 | 約8万人受験、3万数千人合格/年 | 日本との対比 |
| インド公認会計士 | 現在約30万人 → 政府目標500万人 | 全中小企業に監査義務 |
| GMOグループCFO | 安田氏(熊谷氏の右腕) | 国見氏が挙げたCFOロールモデル |
| エアトリCEO | 柴田氏(元CFO) | CFO→CEO昇格事例 |
| マクロミル系CEO | 千葉氏(元CFO、過去PIVOT出演) | CFO→CEO昇格事例 |
| 山田&パートナーズ | 上場済み大手独立事務所、税務・M&A中心、グループ内に監査法人 | 独立路線の成功例 |
| 映画『コンサルタント』 | 米国原題は『The Accountant』、日本版で改題 | 会計士の認知不足の象徴例 |
| 女性会計士比率 | 日本10%台後半、受験生20%超、海外約半数 | 国際比較 |
アクションインサイト
- 国見氏の「合格者の半分が学生・20代9割」の指摘を踏まえると、新卒採用市場で「学生時代に会計士合格済み」というプロファイルが想定以上に厚みを持っているため、自社の若手専門職採用要件を再点検する余地がある
- 国見氏の「会計士は3-5年で監査法人を出る人が3-4割」という見立てから、ビッグ4出身者をミドルキャリア層で採用する設計(経理・財務・経営企画・コーポレート部門)が成立しやすい時期に入っていると読める
- 国見氏の「日本の会計ファイナンス人材の給与水準は欧米比でまだ低く、需給ギャップに対しても価格が追いついていない」議論から、自社CFO・経理責任者ポジションの報酬設計を「需給で見れば本来もっと払う必要がある」観点で見直す論点がある
- 国見氏が「CFO→CEO昇格は世界的に増加」と指摘した点を踏まえれば、自社経営者育成パスにCFO経由の選択肢を組み込む余地がある
- 国見氏の「USCPAは難易度半分でグローバル通用」議論を踏まえると、海外子会社のCFO候補や駐在員候補のリスキリング設計でUSCPA取得支援を検討する余地がある
- 国見氏の「AIで7-8割の業務は代替されるが未開拓業務が大量にある」見立てから、自社経理・財務組織のAI活用は「人を減らす」ではなく「未開拓業務に人を回す」設計で組むほうがリアリティがありそう
引用したくなる発言
学生時代に日本の公認会計士取っておいたら、キャリアの幅かなり広がりそうですよね。(佐々木氏)
6割今ですか?(佐々木氏/CPA社が合格者シェア6割を持つことへの反応)
三振悲しいですね。(佐々木氏/論文3回不合格で短答からやり直しになる業界用語への反応)
50年連続で慶應大学が会計士は1番合格者を出していて。(国見氏)
需要10に対して供給が3とか4なんじゃないかぐらいあるので、本当に活躍できるフィールドは広いと思います。(国見氏)
7割8割AIに置き換わるとは思うんですけど、逆に言うと今まだできてない業務がまだ大量にあるので、AI時代と言って会計ファイナンス領域の仕事がなくなるってことは全然ないんじゃないか。(国見氏)
別に日本で会計士っていう映画のタイトルだとこれ受けないよねってなって、日本版だとコンサルタントになっちゃう。(国見氏/米国映画『The Accountant』が日本では『コンサルタント』に改題された事例)
関連トピック
- 米国公認会計士(USCPA)/ 英国ACCA:グローバル通用する会計資格
- ビッグ4監査法人(EY・PwC・デロイト・KPMG)のキャリアパス
- CFO→CEO昇格トレンド(GMO安田氏、エアトリ柴田氏、マクロミル系千葉氏)
- 山田&パートナーズ:独立系大手事務所モデル
- インド会計士市場の急拡大(30万→500万人計画)
- フィリピン・インドのUSCPA受験者増加
- 映画『The Accountant』(日本版『コンサルタント』)
- 女性会計士のYouTuber/インフルエンサー化トレンド
- FP&A(Financial Planning & Analysis):日本でまだ未開拓の領域
- 簿記教育からアカウンティング/ファイナンス教育への転換議論
- IFRS、USGAAPなど国際会計基準
- 非財務情報開示・IRなど領域拡大