【「国宝」効果で純利益最高】東宝の邦画、快進撃の理由/オリジナル作品倍増への道筋/製作への投資と今後のM&Aは?/高まるアニメ業界での存在感とIPの展開戦略/『ゴジラ』誕生の秘話【TOP TALK】
【「国宝」効果で純利益最高】東宝の邦画、快進撃の理由/オリジナル作品倍増への道筋/製作への投資と今後のM&Aは?/高まるアニメ業界での存在感とIPの展開戦略/『ゴジラ』誕生の秘話【TOP TALK】
30秒サマリー
東宝・松岡社長が、邦画快進撃の背景と今後の経営戦略を語ったTOP TALK。松岡氏は「『国宝』『鬼滅の刃』のヒットは想定を超えていた」とした上で、SNS時代の「ヒットの大ヒット化」現象を指摘。同氏は「これまでは100%に近い成功確率でないと動かなかったが、今は自社主導でリスクを取り作品を作っても潰れない体力ができた」との見立てを示し、自社オリジナル作品の倍増・アニメとIPを軸としたM&A・グローバルパートナーシップ拡大を中核戦略として提示した。聞き手の佐々木氏は「ハリウッド衰退と邦画好調」の構図を提起し、松岡氏は多様性に富んだラインナップとコロナ・ストライキを経た構造変化が要因との見立てを示した。
登壇者
- 松岡宏泰(東宝株式会社 代表取締役社長): 92年の歴史を持つ東宝の現経営トップとして、創業以来の興行・配給中心モデルから、自社製作・IP・グローバル展開へとリスクテイクの幅を広げる戦略を語る立場。
- 佐々木紀彦(PIVOT、聞き手): 元東洋経済記者として東宝担当の経験あり。邦画・ハリウッドの構造比較や経営戦略論点を切り込む役。
- 谷岡花(PIVOT、聞き手): 学生時代に東宝の長期就業体験プログラムに2週間参加した経歴を持つ。冒頭の導入役。
キーポイント
- 「国宝」「鬼滅の刃」のヒットは想定外: 松岡氏は「『国宝』は我々の想定をはるかに超える大ヒット、予測できなかった。鬼滅の刃もIPとして終盤・クライマックスだが、ここまでとは想定していなかった」と主張。
- SNS時代のヒット増幅メカニズム: 松岡氏の見立てでは「お客様が見たいものを見つけた時、何度も見に行きSNSで一気に拡散する。これは10〜20年前にはなかった現象で、ヒットが大ヒット・特大ヒットへ繋がる」要因。
- 「国宝」製作幹事を取らなかった判断: 松岡氏は「製作費が高くなる、上映時間が長くなる、歌舞伎は間口が狭くターゲット層が上、ビジネスとして成立するか」との理由で一旦手放したと振り返り、「当時としては正しい判断だった」との立場。
- 戦後一貫した「興行・配給中心の堅実モデル」からの転換: 松岡氏は「50〜60年代にテレビが出て映画産業が(縮小)化した時、最初に(製作から)離れたのが東宝」と説明し、現在は「自分たちもオリジナル作品を倍増し、リスクを取って作る」フェーズに入ったと位置付け。
- オリジナル作品の倍増は「数」より「納得できる質」が課題: 松岡氏は「数だけなら倍は難しくない。納得して勝負できる作品を倍にするのが相当高い目標」「素晴らしい作品を倍増し、結果として収入利益がついてきたら最高」との見立て。
- M&Aの軸はアニメとIP、対象は広めに探索: 松岡氏は「2022〜25年の中計でM&Aを積極化し、東宝はM&Aしても大丈夫な状態になった」「アニメとIPはエンタメ産業の成長分野で重点。ただ『ここじゃなきゃダメ』ではなく意外と広く見ている」と説明。
- ハリウッド相対衰退・邦画好調の構造変化: 松岡氏の見立てでは「コロナで撮影現場が止まり、直後にストライキ、今年は山火事と影響が連続した。日本など各国の自国映画が強くなった。数十年前のハリウッドしかなかった時代からは確かに変わってきている」。
- 不動産事業がエンタメの不確定性を支える二層構造: 松岡氏は「どの作品が当たるかは誰にも分からない。予測も外れうる。その時に不動産という安定的な事業があるのは本当に助かっている」と主張。
- 創業者・小林一三の理念は92年間「何ひとつ変えていない」: 松岡氏は理念体系刷新の作業を経て「『娯楽エンターテイメントを大衆・世界中の人に提供し、その方たちが喜んでくださることが私たちの喜び』という92年前の言葉が今も通じる」と振り返り。
- 海外展開は「3度目の正直」: 松岡氏は「1950〜70年代にハワイ・ロサンゼルス等で映画館を作って失敗し撤退、以降『海外=危険』の暗黙のムードが続いた。島谷会長の号令で再挑戦した今が、3回目のチャレンジかもしれない」との見立て。
詳細展開
章1. 邦画の絶好調と「国宝」「鬼滅の刃」想定外ヒット
東宝の中間決算発表が直前にあり、「絶好調」と佐々木氏が切り出す。佐々木氏自身が東洋経済時代に東宝担当で、「いつも上方修正ばっかりだった」と回想。松岡氏は冒頭から「私もそれを教えてもらいたいですよね」と笑いながら語り出す。
主張: 松岡氏は「コロナで映画館・演劇が『不要不急』とされた時代を経て、自分たちが映画館を開け続け、お客さんが戻ってきてくれた素地はあった」とした上で、「『国宝』は我々の想定をはるかに超える大ヒット、あれは予測ができなかった」「鬼滅の刃もIPとしては終盤・クライマックスだが、ここまでヒットするとは想定していなかった」と、両作とも想定外ヒットだったと明言。
根拠・データ:
- 「国宝」「鬼滅の刃」が映画部門の絶好調を牽引(客観的事実)
- 中間決算に限らず、東宝の業績はずっと伸び続けている(佐々木氏発言)
- 松岡氏の見立てでは、SNS時代のヒット増幅メカニズム(リピート視聴 × 拡散)がここ10〜20年で生まれた新現象
示唆(松岡氏の語り): 「強い作品はヒットだけでなく大ヒット・特大ヒットに繋がっていく、ヤク肉的なところがあって、たまたま我々はそのいい方の先に巡り合えた」(運の要素を強調する立場)。
章2. 「国宝」製作幹事を取らなかった判断と、後悔
佐々木氏が「製作幹事までやる手もあった。やらなかった後悔は?」と切り込む。
主張: 松岡氏は「あれだけ当たると後悔します」と率直に認めた上で、「製作費が高くなりそう、上映時間も長くなりそう、歌舞伎は間口が狭くターゲット層も上、ビジネスとして成立するのかという思いから一旦手放した」と判断の経緯を説明。最終的にソニーグループ傘下のアニプレックスの子会社「ミリアゴン(仮、字幕からの聞き取り)」が引き取って製作する際、東宝に配給の声がかかった。
反論・補足: 松岡氏は「東宝が配給会社として信頼してもらえた意味でありがたい。ただ後付けで『幹事をやっておけば』と言われたらその通り。当時としては正しい判断、それくらい難しい題材を仕上げた作り手の方たちに敬意を表したい」と、当時判断の正当性と今の後悔を両立させる形で総括。
章3. 興行・配給中心モデルから「製作にリスクを取る」モデルへ
佐々木氏は「制作のところまで深くやっていく。背景の興行も配給も圧倒的に強い東宝が、作るところに投資するのは大きい変化」と位置付ける。
主張: 松岡氏は「東宝92年の歴史で、興行会社として地位を確立した。50〜60年代にテレビが出て映画産業が(縮小)化した時、最初に(製作から)離れたのが東宝」と振り返る。リスクを取らず、強い興行網と配給で堅実にやってきたのが従来モデル。
転換の根拠: 松岡氏の見立てでは、年間30本の配給ラインナップは「他社・パートナーが作る作品でこれ以上ないラインナップ」だが、「これを倍にするのは難しい」。倍に増やすには自社製作も増やすしかない。やる以上は「死体的に(=主体的に?字幕補正不能)100%に近い形で自分たちでリスクを取る」と決断。
根拠・データ:
- 「シン・ゴジラ」「ゴジラ -1.0(マイナスワン)」が「100%作金(=100%自社出資作品の意か)」として成功体験を提供(松岡氏の表現)
- それを元に「自分たちで作れるものを作ろう」と考え方が変わってきた
温度感の保持: 松岡氏は「自分たちはあんまりリスクをテイクしてると思っていない」「成功確率がすごく低いものをギャンブル性を持ってどんどん行こうという気持ちはない」と、リスクテイカー化の表現には慎重な距離を取る。「昔と比べると取れるリスクの範囲が広がってきた」「チャレンジしようという気持ちを社員にも持ってほしい、そういう社員が増えている」との立場。
章4. オリジナル作品倍増の戦略と「数より納得」の壁
主張: 松岡氏は「数だけで言えば倍にするのはそんなに難しい話ではない。とにかく作ろうと言えば作れる」「ただ我々が納得して勝負ができると思った作品を倍にするのは相当高い目標」と、量と質の区別を明確化。「目標としては倍増だが、本当は自分たちが納得できる素晴らしい作品を倍増して、結果として収入利益がついてきたら最高」との立場。
根拠・データ:
- 日本における興行網と配給網は「ある程度確立している。ネットワークを使えば映画が成功する可能性は高くなる」
- 海外展開も繋がってきており、「かけた投資を回収するやり方はレベルアップしている」(松岡氏の見立て)
- 自社で開発する作品数を増やし、できればオリジナル作品(自社IPに繋がる)を増やす方針
- アニメだけでなく実写でも「オリジナル企画に特化したチーム」を作って、東宝のIPとして映画化・シリーズ化する仕組みを模索中
論理: 「数が増えないと、1つから大成功よりも、たくさんの中から抽出されて出てきたものがチャレンジして成功する/失敗する。ある程度の数は必要」(松岡氏)。
章5. パートナーシップとM&Aの方向性
主張(パートナーシップ): 松岡氏は「海外を視野に入れると、北米では劇場配給を展開できるかもしれないが、他地域はまだスタートしたばかり。誰かと組まないと全世界展開は難しい」「オリジナルIPも全部のメンバーだけで作れるわけではない。グローバル展開時にはパートナーシップが大きなキーワード」との立場。「1つのプロジェクトでこの方とこの方、別のプロジェクトでこの方、という前方外交(=全方位外交の聞き取り誤りか)に近い」。
主張(M&A): 松岡氏は「2022〜25年の中計でM&Aに積極的に踏み入れた。当時は対象もよく分からない中、研究しながら声かけて縁があり、国内海外様々な会社と縁ができた結果、『東宝はM&Aしても大丈夫』な状態になった」と説明。
根拠・データ:
- 自前でやるには時間がかかる領域、自分たちが苦手な部分、成長したいがマンパワー・エネルギーが足りないエリアが対象
- アニメとIPはエンタメ産業の成長分野で東宝も重点。「そういったところからの話は結構多く入ってきていて、自分たちも積極的に検討している」
- ただし「ここじゃなきゃダメ、ここが足りない、というほどではない。意外と広く見ている」
反論・温度感: 「ガス人間(=『大怪獣ガス人間第1号』のリメイクか/字幕補正不能)をメトリクと作る」案件が出ているなど、対外プロジェクトも具体化中(松岡氏の言及)。
章6. 東宝の業態の世界的特異性とアニメの存在感
主張: 松岡氏は「アメリカは(パラマウント判決以降)原則として垂直統合を許していない。興行と製作・配給は分離されている。日本は許されているので、東宝は全部運営しているという意味で珍しい会社」「中国・インドにも同様のモデルはあるが、我々はそれに加えてアニメ・演劇・海外展開もある。1つのIPを預かれば全部のところを使える特殊な会社」との立場。
アニメ事業の根拠・データ:
- 11〜12年前に「東宝アニメーション」ブランドを、現会長・島谷氏の号令で立ち上げ
- 当初は苦しい時期もあったが、徐々に世界的ヒットが出るようになった
- 強みは「総合力」(松岡氏):IPアニメを伸ばす過程で映画化のプロセスがあり、東宝は配給を海外含めて自社で展開できる
- 「スパイファミリー」「キングダム」「先頭(=『戦闘員、派遣します!』等の聞き取り誤りか/字幕補正不能)」などミュージカル化も可能、ミュージカルを世界に持っていくこともできる
- 結果として「アニメ業界での東宝の存在感が見えてきている」
章7. ハリウッド相対衰退と邦画好調の構造論
佐々木氏が「ヨガ(=洋画)が衰退、ハリウッドを見なくなった」「日本の方が面白い」と挑発的に切り出す。
主張(松岡氏): 「洋画にも面白いものはたくさんある」と前置きしつつ、「映画は習慣性のもの。映画館で見た予告編から次の作品に繋がる構造があるが、コロナ以降ハリウッド映画が日本で上映される機会が減った」と説明。
根拠(松岡氏の整理):
- コロナで撮影現場が止まった
- その直後にストライキ(米脚本家・俳優ストライキ/2023年)で映画が作れなくなった
- さらに今年は山火事(2025年カリフォルニア山火事)の影響
- ハリウッド作品が外に出れない間、日本など他国は自国映画がだんだん強くなった
主張(邦画好調の要因): 松岡氏は「すごく多様性に富んだラインナップを日本の映画業界・映画作人が提供できている」と分析。「アニメだけではなく、今年は『国宝』『東京MER』『8番出口』があり、実写でも30〜50億のレンジの大ヒット作品がこれだけ出ているのはなかなかない。映画館に来るお客様にとって次に何を見ようかの選択肢が多いことが要因」との見立て。
章8. 92年変えていない理念と、「3度目の正直」海外展開
主張(理念の不変): 松岡氏は「今回理念体系を刷新したが、その作業を経て『(92)年前に小林(一三)さんという創業者が考えたことは何ひとつ変えていない』と気づいた」「『娯楽エンターテイメントを大衆・世界中の方たちに提供し、その方たちが喜んでくださることが私たちの喜び』という92年前の言葉が今も通じている。変えなくていい真ん中の部分が変わらないのは幸運」との立場。
主張(変わるもの): 「テクノロジーの変化、市場の変化、文化の変化はあり、変わらざるを得ない。東宝は適応能力が高い方の会社だと歴史的に見ても思う」(松岡氏)。
根拠・歴史的事実(ゴジラ誕生秘話):
- 創業者・小林一三氏は当時から海外展開を見据えていた(松岡氏の見立て)
- 1950年代、ゴジラ誕生の裏には小林氏の「日本とインドネシアの共同製作」計画があった
- 東宝のプロデューサーがインドネシアまで行ったが、飛行機を降りた瞬間に「話がなくなった」と告げられた
- 帰国の機内で「年末までに映画を作らないと(公開枠の)穴が開く」と焦り、海を見ながら「そういえば水爆実験がこの前あったな」「あの実験が昔から恐竜・怪獣を起こしてしまったらどうなんだろう」と着想したのがゴジラ
- ※この秘話は東宝社内で語り継がれてきたエピソードとしての言及(出典は動画内で言及なし/松岡氏の語り)
主張(海外展開の歴史):
- 1950〜70年代、世界数十地域に日本映画展開のオフィスを作り、ハワイ・ロサンゼルス等に映画館を作って日本映画を上映
- 大失敗して撤退。以降「海外はリスクしかない、危ない、絶対に積極的にやるな」という暗黙のムードが続いた
- 島谷会長の号令で再挑戦。松岡氏は「3回目のチャレンジ、3度目の正直なのかもしれない」と位置付け。「世界基準の制作環境で、世界基準の制作費を使い、アイデアが面白ければアメリカで作ってもいい」との立場。
章9. 不動産事業の役割
主張: 松岡氏は「エンタメ産業はたまたま今好調だがこれは運のおかげ。不確定要素・不安定要素が大きく、どの作品が当たるかは誰にも分からない、予測しても外れうる。その時に不動産という安定的な事業があり、本当に助かっている」との立場。エンタメ事業のボラティリティを不動産が支える二層構造。
重要な固有名詞・データ
| 項目 | 内容 | 文脈 |
|---|---|---|
| 松岡宏泰 | 東宝株式会社 代表取締役社長 | 本動画の主役 |
| 島谷(会長) | 現東宝会長。アニメ事業立ち上げ・海外再挑戦の号令を出した人物 | 章6・章8 |
| 小林一三 | 東宝創業者(92年前) | 章8(理念・ゴジラ誕生秘話) |
| 「国宝」 | 邦画大ヒット作。製作幹事は東宝が一旦手放し、アニプレックス傘下のミリアゴン(聞き取り)が製作、東宝が配給 | 章1・章2 |
| 「鬼滅の刃」 | IPとして終盤クライマックス。想定外の大ヒット | 章1 |
| 「シン・ゴジラ」「ゴジラ -1.0(マイナスワン)」 | 100%自社出資作品の成功体験 | 章3 |
| 「東京MER」「8番出口」 | 実写30〜50億レンジの大ヒット作品(2025年) | 章7 |
| 「スパイファミリー」「キングダム」 | 東宝が関与するアニメ/IP作品 | 章6 |
| 年間配給作品数 | 約30本(東宝が配給する作品ラインナップ) | 章3 |
| 実写30〜50億レンジ大ヒット作品の量 | 2025年は複数本出ている(過去比でなかなかない水準)と松岡氏が指摘 | 章7 |
| 中期経営計画 | 2022〜25年。M&A積極化フェーズ | 章5 |
| 東宝アニメーション | 11〜12年前に島谷氏号令で立ち上げ | 章6 |
| 1954年(ゴジラ) | 戦争終結10年以内に映画を作る計画から派生 | 章8 |
| 米国の垂直統合規制 | 興行と製作・配給の分離が原則。日本では許されている | 章6 |
| 米脚本家・俳優ストライキ | 2023年。コロナ直後の影響としてハリウッド作品供給を遅延させた要因 | 章7 |
| 2025年カリフォルニア山火事 | ハリウッド作品供給への影響要因として言及 | 章7 |
| 日谷(聞き取り)の東宝本社 | 収録場所 | 冒頭 |
| 谷岡氏の長期就業体験 | 学生時代に東宝で2週間(聞き取り) | 冒頭 |
※字幕の自動誤変換と思われる箇所:「日谷」「ヨ画」「ヨガ」「ハリウット」「政商/製造」「死体的」「前方外交」「ミリアゴン」「ガス人間」「先頭」等。文脈から推定して本文では補正・推定を試みているが、固有名詞は不確定要素を残している。
アクションインサイト
- 松岡氏の「興行・配給で築いた基盤の上に、リスクを取って自社製作を増やす」議論を踏まえると、自社が安定収益事業(東宝の不動産・興行)と新規・高リスク事業(製作・IP・海外)を二層構造で持つ余地があるか、ポートフォリオの安定性と成長性のバランスを点検する観点が得られる。
- 松岡氏の「100%確率でないと動かなかったのが、潰れない範囲のリスクを取りに行く」という閾値設定の語り口は、自社の「動く/動かない」判断基準が成功確率なのか、ダウンサイドの大きさなのかを言語化し直すヒントになる。
- 松岡氏の「数だけ倍にするのは簡単、納得できる質を倍にするのが難しい」という整理は、KPIで本数を追うのではなく「自分たちが勝負できると判断できる案件の本数」を別建てで測る指標設計の余地を示唆する。
- 松岡氏のM&A論「ここじゃなきゃダメではなく意外と広く見ている」「自前で時間がかかる領域、苦手領域、マンパワー不足領域」という対象設定は、自社のM&A検討フレームを「特定企業ピンポイント型」から「補完領域マッピング型」へ整理する観点を与える。
- 松岡氏のSNS時代ヒット増幅論を踏まえれば、自社プロダクト/コンテンツの「リピート×拡散」の経路設計(口コミされる体験の作り込み)が10〜20年前と比べてレバレッジが上がっている可能性を見直す余地がある。
- 松岡氏の「ハリウッド相対衰退の構造要因(コロナ・ストライキ・山火事)」分析を踏まえると、各国自国コンテンツ強化のタイミングを、グローバル供給途絶という外的構造で読む視点を持ち帰れる。
- 松岡氏の「3度目の正直」の海外展開姿勢は、過去の失敗で組織内に染み込んだ「やるな」の暗黙ムードをトップの号令で再挑戦する経営判断のケースとして、自社の過去撤退領域への再挑戦判断の参考になる余地がある。
- 松岡氏の「92年理念は何ひとつ変えていない、テクノロジー・市場・文化は変わらざるを得ない」という整理は、理念体系刷新時の「変えない真ん中/変える周縁」の切り分け作業のフレームとして援用できる。
引用したくなる発言
「『国宝』映画はもう我々の想定をはるかに超える大ヒットになって、あれは予測ができなかった」(松岡宏泰)
「強い作品はヒットだけではなく大ヒット、特大ヒットに繋がっていく。たまたま我々はそのいい方の先に巡り合えた」(松岡宏泰)
「(92)年前に小林さんという創業者が考えたことは何ひとつ変えていないんだな」(松岡宏泰)
「数だけで言えば倍にするのはそんなに難しい話ではない。納得して勝負ができると思った作品を倍にするのは相当高い目標」(松岡宏泰)
「東宝はM&Aしても大丈夫なんだっていう状況には今あるんだと思います」(松岡宏泰)
「3回目のこうチャレンジなのかもしれませんね」(海外展開について/松岡宏泰)
「なんでこんな洋画がつまんなくて日本の方が面白いんですかね?」(佐々木紀彦の挑発的な問いかけ)
関連トピック
- 「国宝」(吉田修一原作・李相日監督作品の聞き取り推定/動画内では監督名・原作名は明示されず)
- 「鬼滅の刃」IP(クライマックス段階)
- 「シン・ゴジラ」「ゴジラ -1.0(マイナスワン)」
- 「東京MER」「8番出口」(2025年実写大ヒット作)
- 「スパイファミリー」「キングダム」(東宝関与のアニメ/IP)
- アニプレックス(ソニーグループ)と傘下のミリアゴン(聞き取り)
- 米国の垂直統合規制(パラマウント判決系の論点)
- 2023年米脚本家・俳優ストライキ
- 2025年カリフォルニア山火事の映画産業への影響
- 東宝アニメーション(11〜12年前ブランド立ち上げ)
- 小林一三(東宝・阪急東宝グループ創業者)
- 1950年代の日本・インドネシア共同製作計画(ゴジラ誕生の前史)
- 1950〜70年代の東宝海外興行(ハワイ・ロサンゼルス等での失敗と撤退)
- クリエイターへの収益還元論点(動画末尾で松岡氏が「大きな課題」と言及/字幕がここで途切れているため詳細不明)