超富裕層の資産運用大解剖|ポートフォリオ運用・資産管理会社・レバレッジ効果の3つのポイント
超富裕層の資産運用大解剖|ポートフォリオ運用・資産管理会社・レバレッジ効果の3つのポイント
30秒サマリー
ジャパンアセットマネジメント代表の堀江氏が、超富裕層(資産5億円以上)が実践する資産運用の3つのポイント、(1) ポートフォリオ運用、(2) 資産管理会社の活用、(3) レバレッジ効果の活用、について語った回。堀江氏の見立てでは、超富裕層は「攻め」より「守り」が中心であり、長期投資のパフォーマンスは銘柄選択ではなく資産配分(株・債権・オルタナティブのバランス)でほぼ決まると主張。さらに堀江氏は、現在は債権の利回りが株式益回りを上回る数十年ぶりの局面にあり、債権を組み入れる絶好のタイミングだとの見解を示した。MCの杉村氏は「PLは株、BSは債権」のフレームに強い納得を示しつつ、自身が「攻め」志向であることを自覚しながら議論に乗った。
登壇者
- 堀江氏(ジャパンアセットマネジメント代表): 講師。野村證券リテール営業で全国3000人中1位(CEO表彰受賞)の経歴を持つ。超富裕層・元起業家・トップアスリート等を顧客に、証券・保険・不動産を総合的にコンサルする立場。
- 杉村氏(コメンテーター・投資家): 投資家視点でツッコミと深掘りを担当。自称「まだ攻めたい側」で、株式中心の投資観から債権の魅力を再発見していく対談相手。
- 国山氏(PIVOT・MC): 進行役。視聴者代表として「いくらから相談できるか」「初心者でも大丈夫か」など実用的な問いを投げる。
キーポイント
- 超富裕層の定義と「守りが中心」という前提: 堀江氏の整理では、超富裕層は資産5億円以上、富裕層は1億〜5億円未満。堀江氏は「超富裕層はすでに資産があるので、どう守るかの発想が一番強い」との立場を示した。
- 長期投資のパフォーマンスの91.5%は資産配分で決まる(米国の研究): 堀江氏は、20年間の長期投資ではパフォーマンス要因の91.5%が資産配分(アセットアロケーション)で決まるという米国論文を引用し、銘柄選択や売買タイミングよりも「株と債権を何割ずつ持つか」のほうがよほど重要だと主張。
- 株はPL、債権はBSで判断する: 堀江氏の整理として、株はPL(利益)に反応し、債権は金利とBS(バランスシート=デフォルトリスク)に反応する。同じ会社の株と債権を両方買っても発行体が同じため合理性は低いとの見立てを示した。
- イールドスプレッドで見ると、現在は数十年ぶりに「債権が割安・株が割高」: 堀江氏は、株の益回り(PERの逆数)と債権利回りを比べる「イールドスプレッド」で見ると、直近では債権利回りが株益回りを上回る数十年ぶりの逆転現象が起きており、債権を組み入れる絶好の局面との見解を示した。
- 景気後退局面 × トランプ関税環境では債権70%ポートが現実味: 杉村氏は「これから景気後退に入る可能性が高く、金利の引き上げもなさそう。だとすれば債権70%ポートは現実みが出てくる」と踏み込んだ見立てを述べ、堀江氏も同意。
- 資産管理会社(法人)の損益分岐は経費しだいだが目安は3億円規模: 個人運用は金融所得課税20.315%が固定でかかるが、法人は経費を差し引いた利益にのみ課税される。堀江氏は3億円を5%で運用し1500万円が入ってくる例で、法人化のメリットが出始める目安として提示。
- レバレッジ活用:手元1000万円で1億円の物件を買えば、4%利回りで年265万円の収益(金利1.5%想定): 堀江氏は不動産での例示に加え、株や債権も担保価値があり「証券担保ローン」で借入が可能だと説明。香港の超富裕層は「どれだけレバレッジをかけられるか」で金融機関を選ぶほど資本効率を意識しているとのコメントも紹介。
- 長期債権でも値動きは大きい:金利1%低下で単価約20%上昇: 「債権は値動きしないつまらない商品」という杉村氏の先入観に対し、堀江氏は長期債権では金利1%低下で単価が約20%動くと反論。途中売却で値上がり益も狙える資産だと位置づけた。
詳細展開
第1章:超富裕層の定義と「守り中心」の運用観
番組冒頭、超富裕層の定義として「資産5億円以上」、富裕層を「1億〜5億円未満」、その下にアッパーマス・マスが続くという構造が共有される。MCの国山氏が「重歩送(中流)の人間として勉強しに来た」というニュアンスで対談に入り、杉村氏も「自分はまだまだ上に行こうとしている側」と立ち位置を表明。
主張: 堀江氏は「若い世代やマス層は積極的にリスクを取って収入を運用に回すフェーズだが、超富裕層はすでに資産があるため『どう守るか』が中心になる」との立場を示した。攻めながら守る、守りながら攻める、というバランスが超富裕層の運用テーマになるとした。
根拠・事例:
- 堀江氏の顧客には会社売却後の起業家、トップアスリートなどが多い。
- 堀江氏自身は野村證券リテール営業時代に全国3000人中1位、CEO表彰受賞という経歴。
反論・異論: 杉村氏は「自分はまだまだ上に行きたい側」と自覚を述べつつ、「マスやアッパーは攻め、超富裕層は守り」という整理に納得を示した。
第2章:ポートフォリオ運用 ― 「91.5%は資産配分で決まる」
堀江氏は資産運用3つのポイントの1つ目として、株式・債権・オルタナティブ(不動産=REIT、金など)の3資産クラスのバランスを取る基本フレームを提示。
主張: 堀江氏の見立てでは、長期投資のリターン要因は「銘柄選択」や「売買タイミング」ではなく「資産配分」がほぼ全てを決める。
根拠・データ:
- 米国の論文を引用し、20年間の長期投資ではパフォーマンスの91.5%が資産配分で決まるという研究結果がある(堀江氏紹介)。
- 「皆さんはどの株を買うか・いつ買うかを気にするが、それよりも株と債権を何割ずつ持つかのほうがよほど大事」(堀江氏)。
- 景気が良い時・企業業績改善時は株式比率を上げ、業績悪化時は債権比率を上げて守る、というのが基本動作との説明。
杉村氏の補足見立て: 杉村氏は「これから景気後退に入る可能性が高く、企業業績は悪化、金利の引き上げもそう簡単にはなさそう。だとすれば債権70%というポートフォリオは非常に現実みが出てくる」と踏み込んだ。堀江氏も同意。
第3章:イールドスプレッド ― 「今は数十年ぶりに債権が割安」
主張: 堀江氏は、株と債権どちらを多く持つべきかを判断するために「イールドスプレッド」という考え方を使うと説明。株の益回り(株価分の1株当たり純利益=PERの逆数)と債権利回りを比較し、どちらの利回りが高いかを見るフレーム。
根拠・データ:
- 歴史的には株の益回りが債権利回りより高い期間が長かったが、堀江氏によれば直近で「数十年ぶりにこれが逆転」しており、債権利回り > 株益回りの状況にある。
- イールドスプレッドの考え方からは、現在は「債権がかなり割安、株が割高」と言える、というのが堀江氏の見立て。
反論・補足: 杉村氏が「日本の上場企業には売上高純利益率3〜4%の会社も多い。だったら債権ポートのほうが確実に利益が出るし、企業の運用部門もよく見たほうがいい」と素朴な疑問を投げ、堀江氏は同意した。
第4章:実例ポートフォリオと「同じ会社の株と債権を両方買う」素朴な疑問
堀江氏は10億円規模で組んだ債権ポートフォリオの実例を紹介。
根拠・事例:
- 銘柄は「皆さんが名前も知っている安全性が高い銘柄」中心。米国債を真ん中に、Amazonなどの社債も含む構成。
- 償還期日を分散させており、最短は2032年(約7年後)、最長は2063年。期間分散で金利の上昇下落リスクを抑えつつ、長期債で割安な利回りを享受し続ける設計。
杉村氏の質問: 「同じ銘柄(例:Amazon)の株と債権を両方買ったらヘッジになるのか?」
主張(堀江氏): 「発行体が同じなのであまり合理性はない」。なぜなら、株はPLに反応する(利益が増えれば株価が上がる)のに対し、債権は金利とBSに反応する(デフォルトしそうになれば単価が下がる)から。両者は「そもそも見るポイントが違う」。
整理(堀江氏の主張): 「PLを見て株価を買うべきだし、BSを見て債権を買うべき」。同じ銘柄を株・債権両方で買うケースは多くないとの立場。
杉村氏の応答: 「PLが小さくなりそうな時には債権にシフトしたほうがいい、ということだ」と理解を示した。「(私は)動くことが好きで株が好き。債権はつまらないという潜入感があった」と本音を明かす。
第5章:債権の値動き・福利運用シミュレーション
主張: 堀江氏は「債権は値動きしないつまらない商品」というイメージに対して反論。
根拠・データ:
- 長期債権では、米国の長期金利(国債利回り)が1%下がると単価で約20%動く(堀江氏の説明)。値上がり益も狙える商品である、というのが堀江氏の主張。
- 満期まで持てば債権単価は元本に戻る性質があり、安全性も一定確保される。
- 利金を現金で持つ場合と株に再投資する場合のシミュレーション:10億円を30年運用すると、利金現金保有では約19億円、利金を株に回し福利運用(世界株式の長期リターン約6%想定)では約36億円となり、3.6倍の差が生じる、という堀江氏のモデル提示。
- 過去のリーマンショック・コロナショック時、株が一番下がるタイミングと金利が一番低い時期がほぼ一致しており、その局面で債権を売って株を増やすと「一番安いところで株を買える」理想的な運用ができる、というのが堀江氏の整理。
杉村氏の見立て: 「PLは来年・再来年が読みにくいが、BSは比較的読みやすいのでは」と発言し、堀江氏は同意。「格付けが高い債権はバランスシートが急に変わらないため予測しやすい」と補足した。
第6章:資産管理会社の活用 ― 法人化の損益分岐
主張: 堀江氏は2つ目のポイントとして、超富裕層が資産管理会社(法人)を持つ意義を整理。
根拠・データ:
- 個人運用:金融所得課税20.315%(キャピタルゲイン・インカムゲイン両方に対し)が固定でかかる。
- 法人運用:キャピタルゲイン・インカムゲインが売上計上され、経費を差し引いた利益にのみ課税される。経費を多く使う人や運用金額が大きい人ほど資本効率が上がる可能性がある、というのが堀江氏の見立て。
- 経費の例として、資産管理会社単独だとほとんど経費は出ないが、コンサルティング業など他業を併設し、業務獲得のための飲食代を交際費で計上、といったパターンが「一般的に認められる範囲」として紹介された。
- 損益分岐の目安:3億円を5%利回りで運用すると年1500万円の収入が生じる。個人課税の450万円程度を払わずに済むコストと、税理士費用・会社設立費用などの相殺で考えてプラスになるなら法人化の価値あり、というのが堀江氏の提示した目安。ただし「人によります、経費しだい」と限定を付けた。
第7章:レバレッジ効果の活用 ― 不動産・証券担保ローン
主張: 堀江氏は3つ目のポイントとしてレバレッジ(テコ)の活用を紹介。
根拠・データ:
- 例:手元1000万円・利回り4%想定。レバレッジなしなら1000万円の物件しか買えず収益は年40万円。9000万円を金利1.5%で借りて1億円の物件を買えば、レバ後利回りで年265万円が入ってくる。出している自己資金は同じ1000万円。
- 不動産が典型例だが、株・債権も担保評価ができるため「証券担保ローン」を組める。手元の証券(株や債権)を担保に借入してさらに運用に回す手法。
- 香港の事例:「香港の超富裕層は、どれだけレバレッジをかけられるかで金融機関を決めることもある」(堀江氏)。インフレ国で育っているため、レバレッジで物価上昇率を上回りに行くという発想が頭にあるとの見立て。
- 杉村氏のコメント:「日本の成長期みたいなものか」。堀江氏は同意。
第8章:堀江氏の会社のサービス内容と相談ハードル
主張: ジャパンアセットマネジメントは証券・保険・不動産を総合的に扱い、トータルでポートフォリオを組むコンサルティングが事業内容(堀江氏)。預かり資産は証券だけで700億円、不動産も加えるとさらに大きい規模。
根拠・事例:
- 相談の最低金額は設けていない。月1万円の積立だけの顧客もいる、というのが堀江氏の説明。
- 相談料は無料。問い合わせは概要欄のホームページから受け付けるという案内。
- 顧客の声として「運用を任せるのはアウトソーシング感覚」という発言が紹介され、自分でマーケットを見ながらライフイベントも管理するのは大変なので外出ししたほうが効率がいい、という顧客像が示された。
重要な固有名詞・データ
| 項目 | 内容 | 文脈 |
|---|---|---|
| 超富裕層 | 資産5億円以上 | 番組冒頭の定義 |
| 富裕層 | 資産1億〜5億円未満 | 同上 |
| 堀江氏 | ジャパンアセットマネジメント代表 | 講師。野村證券リテール営業で全国3000人中1位・CEO表彰受賞の経歴 |
| 91.5% | 20年間の長期投資パフォーマンスのうち資産配分で説明される割合 | 堀江氏が引用した米国論文 |
| 20.315% | 個人の金融所得課税率 | 法人化のメリット説明 |
| 3億円 | 法人化の損益分岐の目安(人による) | 5%運用で年1500万円収入の試算 |
| 1500万円 | 上記の年間収入想定 | 法人化の経済性試算 |
| 9000万円借入・1億円物件 | レバレッジの例示。手元1000万円で1億円物件を買う構図 | レバレッジ効果のセクション |
| 4% | 例示の物件利回り | レバレッジ計算 |
| 1.5% | 例示の借入金利 | レバレッジ計算 |
| 265万円 | レバ後の年間収益(上記条件) | レバレッジ計算 |
| 20% | 米国長期金利が1%下がった時の長期債権単価の動き | 債権値動き説明 |
| 6% | 世界株式の長期リターン想定 | 福利運用シミュレーション |
| 19億円 → 36億円 | 10億円を30年運用、利金現金保有 vs 株再投資の差 | シミュレーション結果 |
| 700億円 | ジャパンアセットマネジメントの証券預かり資産 | 不動産は別途あり |
| Amazon | 紹介された社債発行体の一例 | 実例ポートフォリオ |
| 2032年〜2063年 | 例示ポートフォリオの償還日レンジ | 期間分散の説明 |
| イールドスプレッド | 株の益回り(PERの逆数)と債権利回りを比較する指標 | 株 vs 債権配分の判断軸 |
| 香港 | レバレッジを最大化する金融文化の例 | インフレ国での資本効率意識 |
アクションインサイト
- 堀江氏の「長期投資の91.5%は資産配分で決まる」という議論を踏まえれば、自社・自分の運用を見直す際に、銘柄選定の議論より先に「株・債権・オルタナティブの比率は今の景気局面に合っているか」を点検する余地がある。
- 堀江氏・杉村氏の「PLは株、BSは債権」フレームを応用すると、自社の余資運用や事業会社のCFO観点で、既存の株式中心ポート(PL前提)を、債権を含むBS的安定資産にどこまで振り替えるかという問いを立てる余地がある。
- 堀江氏が示したイールドスプレッドの逆転(債権利回り > 株益回り)の見立てを踏まえると、現在のポートフォリオで株式比率が「攻めの時代の名残」のままになっていないかを点検する観点が得られる(ただし市場見通しは時点依存であり、実行は専門家相談前提)。
- 法人化(資産管理会社)の損益分岐の目安「3億円・経費活用前提」という議論を踏まえると、運用規模が一定を超えた個人事業主・経営者が、税理士費用・設立費用と税メリットの相殺で意思決定する具体ラインを引きやすくなる。
- 堀江氏の「証券担保ローンによるレバレッジ」の議論を踏まえれば、株・債権を保有する経営者は、住宅ローン以外の借入手段として担保価値を活用できる選択肢があることを認識しておく余地がある(リスク許容度・インフレ前提の確認は必須)。
引用したくなる発言
「超富裕層はやっぱり資産がもう既にあるので、それをどう守っていくかって発想が一番強い」(堀江氏)
「PLを見て株価を買うべきですし、BSを見て債権を買うべき」(堀江氏)
「皆さん、どの株買ったらいいんだ・いつ買ったらいいんだを気にされるが、前段階として株と債権そもそも何割ずつ持つのかのほうが、よっぽど大事」(堀江氏)
「債権の世界って面白いですよね。意外と。奥深い。PLは今年の成績だけど、BSはその会社の積み重ね」(杉村氏)
「香港の方とかは、どれだけレバレッジをかけられるかで金融機関を決めていたりする。資本効率の意識がちょっと違う」(堀江氏)
関連トピック
- ジャパンアセットマネジメント(証券・保険・不動産を総合扱う会社、預かり証券700億円規模)
- 野村證券(堀江氏の出身、リテール営業全国1位の実績)
- イールドスプレッド(株式益回り vs 債権利回り)
- 米国の長期投資パフォーマンス研究(資産配分91.5%論)
- リーマンショック・コロナショック時の「株底値 ≒ 金利底値」の重なり
- 証券担保ローン(株・債権を担保にした借入)
- トランプ関税・景気後退局面(杉村氏が文脈として言及)
- 香港富裕層のレバレッジ文化
- 資産管理会社(法人運用と経費・課税の最適化)
- REIT・金などのオルタナティブ資産