【起業における銀行の賢い使い分け】大手銀行とネット銀行の違い/AIが借入額を提案/アプリ1つで取引が完結
【起業における銀行の賢い使い分け】大手銀行とネット銀行の違い/AIが借入額を提案/アプリ1つで取引が完結
30秒サマリー
PIVOT「スキルセット」の本回は、住信SBIネット銀行の大杉氏と、スタートアップ支援の現場を持つ公認会計士・税理士の大野俊平氏が、起業時の銀行選び・使い分けを論じた対談である。両氏は「①法人口座を制するものが起業を制す ②一般的な銀行とネット銀行の違い ③住信SBIネット銀行でできること」の3軸で議論を展開し、ネット銀行は口座開設スピード・振込手数料・24時間365日のアクセス性で起業初期の効率化に効くという見立てを示した。一方で長期・大型の融資相談は実店舗を持つ一般的な銀行・信金が向くとし、両氏は「両者を併用する使い分け」を推奨する立場を取った。
登壇者
- 大杉氏(住信SBIネット銀行): 自社の特徴(オープンAPI/フルバンキングBaaS/AI活用のトランザクションレンディング/アプリ1つでの完結)を解説。ネット銀行視点で起業期の利便性とスピードを説く立場。
- 大野俊平氏(セブンセンス税理士法人ディレクター/公認会計士・税理士): スタートアップの経営相談・資金調達支援の経験から、デットファイナンス(借入)と一般的な銀行・ネット銀行の使い分けを語る立場。
- 司会(女性パーソナリティ/西かほさん?字幕で「西かほさん」と呼ばれる): 視聴者目線で論点を引き出す進行役。
キーポイント
- 起業件数が右肩上がり: 2013年〜2024年の起業件数は増加傾向、2024年は14万件超(出典は動画内のグラフとして提示)。大野氏は「コロナ禍で起業を見送った人の反動」「副業解禁・自治体支援の拡充」を要因として挙げる立場。
- 法人口座開設スピードの差: 大野氏の見立てでは、メガバンクは「最短でも2〜3週間、通常4週間程度」、ネット銀行(住信SBIネット銀行)は「最短翌日」。
- メガバンクの口座開設はハードルが高い: 大野氏は「メガバンクで断られた起業家のケースに頻繁に遭遇する」とし、マネロン対策上、初めての起業では信用が積み上がっていないことが背景にあると指摘。
- かつてはネット銀行が「セカンドオプション」、今は「ファーストチョイス」化: 大野氏は「メガに断られて仕方なくネット、から、最初からネット銀行を選んでスマートに起業する人が増えている」との見立てを述べた。
- 振込手数料の差が経費を圧迫する: 大杉氏は「他行宛て振込は窓口で1,000円弱、メガバンクのインターネットバンキングでも数百円程度かかる」のに対し、ネット銀行(住信SBIネット銀行)は「145円」と提示。
- 24時間365日/OS制限なし/月額無料: 大杉氏は、ネット専業銀行のインターネットバンキングは時間・OS・月額の制限が基本ない一方、一般的な銀行のインターネットバンキングは平日9時まで/Mac非対応/月額課金などの制約があるケースを指摘。
- AIが借入額を先に提案するトランザクションレンディング: 大杉氏によれば、住信SBIネット銀行の事業性融資「dayta(デイタ)」は、決算書不要・入金明細をAIが見て「300万円・3%で借りられます」等のオファーを先出しする仕組み。上限3,000万円、最短当日借入可。
- 使い分けの推奨: 大野氏は「日本政策金融公庫+信金+住信SBI(取引実績用)」の併用パターンを支援の必勝パターンとして紹介。長期・大型は実店舗銀行、運転資金スポット・日常取引はネット銀行という棲み分け。
詳細展開
章1. 法人口座を制するものが起業を制す(起業の足元の論点)
司会は「2013〜2024年の起業件数が右肩上がり」のデータを提示し、大野氏に背景を尋ねた。
主張: 大野氏は「コロナ禍で起業を見送った人の反動」「オンラインサービスを使うのが当たり前になり、それに向けた新サービスが多く出てきた」「副業解禁、自治体の起業支援拡充」を要因として挙げ、起業の母数が増えていると述べた。
根拠・データ:
- 2024年の起業件数は14万件超(動画内のグラフ)
- 2013年は10万件より少し下のレベル
- 副業解禁・コロナ禍を契機とした若い世代の起業増、自治体支援拡充
司会の論点提示: ネット銀行で起業スピードを最速化、というキーワードで以後の議論をフレーミング。
章2. 起業フローと口座開設スピード
主張: 大野氏は、起業フローを「①基本事項決定 → ②定款作成・認証 → ③資本金払込 → ④登記申請 → ⑤銀行口座開設」と整理し、銀行口座開設で「メガバンク:最短2〜3週間、通常4週間/ネット銀行:最短翌日」のスピード差があると述べた。
根拠・データ:
- 定款認証だけでも、慣れている人で1週間、初めてだと2週間程度かかる(大野氏)
- メガバンクは予約必須・審査が厳しい。「数百万円の口座のためにメガバンクがマネロン等のリスクを取りたがらない構造がある」(大野氏)
- ネット銀行は店舗がなく非対面、書類とデータでシステム審査するため、最短翌日が可能(大杉氏)
反論・補足: 大野氏は「1年かけて準備できる人なら翌日でも2〜3週間でも大差ない」と冷静に補足しつつ、「起業直後は売上立てる方が忙しく、銀行口座のために時間を取られるのはデメリット」とのスタンス。
章3. 一般的な銀行とネット銀行の機能比較
主張: 大杉氏は両者の差異を「店舗窓口の有無/振込チャネル/利用時間/振込手数料/OSやアプリ対応」で整理した。
根拠・データ(大杉氏の整理):
- 店舗窓口: 一般的な銀行は有、ネット銀行は無
- 振込チャネル: ネット銀行はWeb/アプリ。移動中の車内・就寝前ベッドからでも顔認証で送金可
- 利用時間: ネット銀行は24時間365日、一般的な銀行は9時〜15時で「シャッターが閉まる」
- 振込手数料(他行宛て):
- 一般的な銀行・メガバンク窓口:1,000円弱
- メガバンクのインターネットバンキング:数百円程度
- ネット銀行(住信SBIネット銀行):145円
- 明細確認: ネット銀行はWeb/アプリでデータダウンロードして税理士に共有可能
論点: 大杉氏は「振込手数料は確実に下げられるコスト」と位置づけ、大野氏は「利益=売上−コスト。売上は顧客都合で簡単に上がらないが、確実に下げられるコストは経営判断として下げるべき」との立場で同調した。
反論的観点:
- 司会から「ネット銀行は手数料を下げて自社の利益が大丈夫か?」との問いに、大杉氏は「店舗・人員コストが少ないため、原価構造が一般的な銀行と異なる。最低限の経費で運営できているから安く提供できる」と回答。
- 一般的な銀行の利点として大杉氏は「実店舗があり担当者がつくため、設備投資など長期・大型の柔軟な融資相談ができる」と指摘し、両者は補完関係にあるという立場を示した。
章4. 両建ての使い分けパターン
主張: 大杉氏・大野氏は「ネット銀行と一般的な銀行は両方持って使い分けるのが現実解」との立場を共有。
根拠・大野氏の必勝パターン:
- 創業期の借入:日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫の流れ)と地元の信金から借りる
- 信金の融資は「信金口座を返済用口座に指定」する形が多い
- 公庫の借入は住信SBIネット銀行に置き、日常の振込・入出金で取引実績を貯める
- 取引実績が貯まると、住信SBIネット銀行のトランザクションレンディングのオファー額が出るようになり、ボーナス時期や税金支払いなどスポットの短期資金ニーズに使う
ネット銀行側の補足(大杉氏):
- 住信SBIネット銀行も「返済用口座」に指定可能(かつてはネット銀行が指定不可だった時期があったが、最近は可能に)
- 長期・大型の設備投資相談は信金・地銀が向く一方、運転資金のスポットはネット銀行のトランザクションレンディングで対応可能
章5. 住信SBIネット銀行の特徴とサービス
主張: 大杉氏は自社を「テック企業の色合いが強い銀行」と位置づけ、以下を強みとして挙げた。
強み(大杉氏の説明):
- オープンAPI: 日本で初めて銀行としてAPIを公開する基盤を開発。会計ソフト等への入出金明細連携が身近な活用例
- フルバンキングBaaS: 預金・融資の銀行機能をパートナー企業のプラットフォームに連携。パートナー経由で顧客体験を高める設計
- 新規法人口座開設: 振込手数料が安く、キャンペーンで無料回数が付くことも
- トランザクションレンディング「dayta(デイタ)」:
- 決算書・書類提出不要
- 入金明細をAIが見て、たとえば「300万円・3%」のオファーを先出し
- 上限3,000万円
- 最短当日借入可(実データでも当日・翌日の借入が多いとのこと)
- 毎月AIが見直してオファーを更新するため、「経営者が毎月メールを楽しみに見る材料になっている」(大杉氏)
- アプリ1つで完結: 法人口座もアプリでほぼ全取引可能。UI/UXは「シンプル」「ビジネス的なネイビー基調」にこだわる(大杉氏)
- コンビニATM対応: スマホアプリのQRコード表示で、キャッシュカードなしでもATMから出金可能
- スマート認証ネオ: 端末の本人確認情報と生体認証を紐付け、登録アプリ以外からの取引は事前承認が必要。利便性とセキュリティの両立を企図
評価コメント(大野氏):
- AIが先にオファーを出す形式は「対面で『君は数百万までかな』と言われるよりダメージが少ない」「心理的ハードルが下がる」というスタンス
- 自身のスタートアップ支援の必勝パターンに住信SBIネット銀行が組み込まれているとの言及
- UI/UXの改善を継続的に追っており、「意識しないインフラになりつつある」と評価
章6. ビジョン:「意識から消えるインフラ」
主張: 大杉氏は、住信SBIネット銀行の目指す姿を「経営者が本業に集中できる、意識から消えるインフラ」と表現。
根拠・比喩(大野氏の言葉を借りた大杉氏):
- 「道路を歩いていて『道路便利』と思う人はいない。でも道路が整っているのが当然になっている」
- 経営者は本業に集中している時、お金の流れで意識が中断されない方がよい。便利=意識しないこと。
大野氏の同調:
- UI/UXや顔認証など、引っかかる小さなストレスは経営の負担に直結する
- 経営自体がストレスの高い行為であり、銀行のような頻度の高い接点でネガティブが減ると、経営者の負担が下がる
最後のメッセージ(大杉氏):
- ネット銀行と一般的な銀行のそれぞれの良さを理解して使い分けることで、ストレスのない効率的な経営につなげてほしい
重要な固有名詞・データ
| 項目 | 内容 | 文脈 |
|---|---|---|
| 住信SBIネット銀行 | 対談の主催/ゲスト企業 | テック志向・オープンAPI・BaaSを掲げる銀行として紹介 |
| セブンセンス税理士法人 | 大野氏の所属 | 公認会計士・税理士、ディレクター |
| dayta(デイタ) | 住信SBIネット銀行の事業性融資商品名 | DAYとDATAをかけ合わせた綴り。トランザクションレンディング |
| 上限3,000万円 | dayta の借入上限 | AIが入金明細から算出したオファーを先出し |
| 最短当日 | dayta の借入実行スピード | 実データでも当日・翌日借入が多い(大杉氏) |
| 145円 | 住信SBIネット銀行の他行宛て振込手数料 | 一般的な銀行窓口の1,000円弱と比較 |
| 1,000円弱 | 一般的な銀行・メガバンク窓口の他行宛て振込手数料 | 大杉氏の説明 |
| 数百円程度 | メガバンクのインターネットバンキングでの振込手数料 | 大杉氏の説明 |
| 24時間365日 | ネット銀行の利用時間 | 一般的な銀行の9時〜15時と対比 |
| 14万件超 | 2024年の起業件数 | 動画内グラフ。2013年は10万件より少し下 |
| 最短翌日 | 住信SBIネット銀行の法人口座開設スピード | メガバンクは2〜3週間〜4週間(大野氏) |
| 日本政策金融公庫 | スタートアップの定番デットファイナンス先 | 大野氏の必勝パターンに登場 |
| 信金・地銀 | 長期・大型の設備投資融資の相談先 | 実店舗・担当者ベースの柔軟相談に向く(大杉氏) |
| オープンAPI | 銀行データを安全に外部連携する仕様 | 住信SBIネット銀行が日本で初めて銀行として公開基盤を開発 |
| フルバンキングBaaS | 銀行機能をパートナー企業プラットフォームに組み込むサービス | 住信SBIネット銀行が提供 |
| スマート認証ネオ | アプリの生体認証+本人確認紐付けの認証機能 | 利便性とセキュリティの両立 |
アクションインサイト
- 大野氏の議論を踏まえれば、起業初期の経営者が「公庫+信金+ネット銀行」の3点セットで資金調達と日常取引を分業する設計は、自社(起業家側)の資金繰り戦略を組む際の参照点になる。長期・大型の借入と日常運転資金スポットを別チャネルで持つ発想は、既存事業の資金管理にも応用余地がある。
- 大杉氏の指摘を踏まえると、振込手数料・口座開設リードタイム・銀行業務に取られる経営者の時間は、自社の経費・時間配分の点検対象として再考の余地がある。特にB2Bで振込件数が多い事業では、手数料単価×回数の総額を試算してみる価値がある(ただし、ネット銀行への切り替え可否は事業特性・必要な与信枠・既存銀行との関係性など個別要因で判断する必要がある)。
- AIによる借入オファー(dayta)の議論を踏まえれば、自社が決算書ベースの融資相談以外に「日常の入金データから自動で評価される」チャネルを持っているか点検する余地がある。資金調達の選択肢を増やす設計として参考になる。
- 大野氏の「経営はストレスの高い行為」「銀行接点の小さな摩擦が経営自体の億劫さに繋がる」との指摘は、自社の社内ツール・業務フロー設計(経営者・幹部が日常的に触れる接点)にも応用余地がある観点である。
引用したくなる発言
メガダメだからネット銀行ではなくて、そもそもネット銀行を選択して、スマートに起業する。が増えている気はします。(大野氏)
利益っていうのは売上を上げるかコストを削減するか。確実に下げられるコストっていうのをしっかり経営判断として下げていくっていうのは重要なのかな。(大野氏)
銀行口座をお使いいただくと、その入金明細を弊社のAIが勝手に見て、オファーを先に出させていただく。(大杉氏)
道路を歩いていて「道路便利」って思う人っていないんですよね。便利イコール意識しないこと。便利を追求して皆さんが本業に集中できるような機能を作っていきたい。(大杉氏/大野氏の言葉を借りる形)
経営ってそもそもストレス高い行為なんですよ。そこにネガティブな要素があると、ますます経営自体が億劫になってしまう。(大野氏)
関連トピック
- 起業フローの基本ステップ(基本事項決定/定款作成・認証/資本金払込/登記申請/銀行口座開設)
- デットファイナンス(借入/日本政策金融公庫/信金・地銀/メガバンク/ネット銀行)とエクイティファイナンスの2分類
- 銀行のオープンAPI・BaaSによる金融機能のプラットフォーム化
- トランザクションレンディング(取引データに基づく事業性融資)
- 起業数の推移(2013年〜2024年・副業解禁・自治体支援)
- 経営者向けUI/UX設計と「意識から消えるインフラ」という設計思想
- スマート認証ネオ・生体認証によるセキュリティと利便性の両立
- 番組「PIVOT スキルセット」(住信SBIネット銀行 提供回)