【消えゆく社長の共通点】起業1年目・竹内由恵にOWNDAYS会長・田中修治が伝えたい"失敗の法則"/成功はアート・失敗はサイエンス/好きなことを仕事にするメリット&デメリット【ビジネス虎の巻】
【消えゆく社長の共通点】起業1年目・竹内由恵にOWNDAYS会長・田中修治が伝えたい"失敗の法則"/成功はアート・失敗はサイエンス/好きなことを仕事にするメリット&デメリット【ビジネス虎の巻】
30秒サマリー
OWNDAYS会長・田中修治氏が、コーヒー事業で起業準備中の竹内由恵氏に対して「成功の方程式は人それぞれだが、失敗パターンは共通している」との見立てを示した対談。田中氏は2025年12月に出版予定の「社長がつまづく全ての疑問に答える本」の論点を踏まえながら、低価格スタートのリスク、好きを仕事にするメリット/デメリット、顧客の習慣に商品を組み込む発想、メディア露出が会社にもたらす副作用などを論じた。「失敗を未然に防ぐことで打席数を増やせばいずれヒットが出る」というのが田中氏の中心的な主張。
登壇者
- 田中修治(OWNDAYS会長): 30歳で倒産寸前のメガネチェーンOWNDAYSを買い取り、10年足らずで再建。社長を退いて会長就任後、20社程度の若手経営者をコンサル/社外取締役/顧問として支援中。今回はその経験から「失敗の法則」を伝える側
- 竹内由恵(フリーアナウンサー/コーヒー事業を起業準備中): エチオピア・イルガチェフェのコーヒー豆を扱うビジネスを始めようとしている起業1年目。3年で年商1億円を目指していると公言。聞き手として実体験ベースの質問を投げかける立場
キーポイント
- 失敗は共通している: 田中氏は「成功の仕方は人それぞれだから他人のやり方は再現できないが、陥りやすい失敗パターンは共通している」との見立て。失敗を未然に防げば打席数が増えるからいずれヒットが出るという論理を中心に据えている
- 低価格スタートはスモールビジネスでは推奨しない: 田中氏の主張は「低価格から始まったブランドは高く売れない」。大手は規模で低価格が成立するが、小さい会社は単価の高いものから始めて拡大時に低価格を足す順序が正しいという見立て
- 好きを仕事にすることのメリット/デメリット: 田中氏は「好きであるがゆえに専門性を深掘りできる」一方、「感情移入で売れない美味しいコーヒーを売ろうとしてしまう」「ビジネス観点より自分の趣味嗜好が勝つ」リスクを指摘
- メディア露出は社長を勘違いさせる: 田中氏は基本YouTube等に出ない方針。理由は(1)社長の承認欲求が増幅されて会社が「自分が目立つためのステージ」化する、(2)炎上で全国店舗の足を引っ張る、の2点
- 顧客の「習慣」に商品を組み込めるかが鍵: 田中氏の見立てでは「自分の商品が顧客のルーティーン/習慣のどこに入り込むかを定義できれば失敗確率が下がる」。OWNDAYSでは商品ごとに「コンタクト外して家でかける用」等の習慣シーンを商品部で定義していると述べた
- 商品ラインナップは役割定義が必要: 入門編〜上級編の階段、定番/実験的/上位ランクの比率(田中氏曰くOWNDAYSは定番3割等)を意図的に設計する。「いい商品ができた」で行き当たりばったりに増やすのは下手なやり方、というのが田中氏の整理
- 価格設定は売り手側が原価を気にしすぎている: 田中氏は「自分が買う側だと原価気にしないくせに、売る時になると原価気にして設定する」と指摘。デフレ世代特有の心理的アンカーがあるとの見立て
- どこまで大きくしたいか、自分と対話せよ: 田中氏は「みんなが上場や大企業を目指す必要はない」「どの程度の規模を目指すのかをまず自分で知るべき」とのスタンス
詳細展開
章1:田中修治氏の経歴と本書の位置づけ
竹内氏が田中氏のキャリア(30歳でOWNDAYS買収・10年弱で再建・2025年12月に「社長がつまづく全ての疑問に答える本」出版予定)を紹介。本書は田中氏が社長退任・会長就任後に始めた約20社の若手経営者向けコンサル/社外取締役/顧問業務で、毎週多くの経営者から受ける相談事をテーマ別に集めて書籍化したもの。
主張: 田中氏は「規模はちっちゃい社員数人の街工場から数百〜千人規模まで幅広く見ている」「社のステージごとに陥る壁がある」と述べ、ステージ別のつまづきポイントを言語化することに意義があるとの立場。
根拠・データ:
- OWNDAYSは全国に何百店舗(具体数字は動画内で言及なし)
- 田中氏が20歳の頃、地元埼玉で潰れた喫茶店を友人の父の不動産屋からタダで借り、漫画喫茶(インターネット併設の走り)を展開した経験
章2:「お金のためにやらないなら商売じゃない」という論
竹内氏の「お金のためにコーヒーをやるわけではない」という発言に対する田中氏の応答。
主張: 田中氏は「お金のためにやらないならNPO等の非営利でやるべき」「株式会社で商売をやる人の最大の社会貢献は利益を出して納税すること」というスタンス。お金を循環させ、利益を出し、雇用を生み、納税するのがビジネスマンの使命との立場。
根拠・データ:
- 田中氏は小学校の頃から家が貧乏で、お金への執着が強かった経験を持つ
- 自身を「中二病が冷めなかった」と表現し、20歳になっても「グラビアイドルと付き合いたい」「金持ちになりたい」と思い続けたと述懐
補足: 一方で田中氏は「人から恨まれたり嫌われたりしてお金を稼ぐのは続かない」とも述べており、「楽しくてやりがいがあって人のためになって儲かる」のが結果的に残るとの見立てを併記。
章3:起業3パターンと、好きを仕事にすることのメリット/デメリット
田中氏は起業を以下の3パターンに分類:
- 今の仕事の延長で独立(フリーランス化)
- やりたいことが決まっていてやる(竹内氏のコーヒーはこのタイプ)
- やりたいことは特になく、何者かになりたいから会社をやる(田中氏自身のタイプ)
主張: 田中氏は「どれが成功しやすいということはない」とした上で、好きを仕事にする場合のメリット/デメリットを整理。
メリット:
- 仕事の域を超えた深掘り・専門性の獲得が可能
- 経営者の情熱が商品/サービスに伝わり、ファンが生まれる経路がある(これは竹内氏の問題意識)
デメリット:
- 売れる「美味しくないコーヒー」と売れない「美味しいコーヒー」があった時、好きが故に後者を売ろうとしてしまう
- 趣味嗜好がビジネス観点に勝つと不利
反論・異論的論点: 竹内氏は「経営者がそこまで商品を好きじゃない状態でファン獲得できるのか」と問うた。田中氏は「メガネは好きだが、最初の頃自分の好きなフレームばかり作って売れなかった経験がある」と回答。会社が個人/小規模のうちは好きなものをやればいいが、従業員/取引先が増えて社会的責任が増したら「一旦好きを脇に置いて冷静にビジネスを俯瞰すべき」というのが田中氏の整理。
章4:「消えゆく社長」の共通点 ― メディア露出のリスク
竹内氏が「消えゆく社長の共通点」を尋ねた場面。
主張: 田中氏は「メディアに出まくる」ことを共通点の1つとして挙げた。
根拠・論理:
- 社長は元々承認欲求や英雄願望が強い人種。露出が増えると「町で見ましたと言われて勘違いし、芸能人気分になる」
- 元々は会社宣伝のために出ていたはずが、「自分が目立つためのステージが会社になる」転倒が起こる
- そのステージに付き合わされる社員のモチベーションが下がる
- 一般顧客向けビジネス(OWNDAYSなら全国店舗)では、社長の暴言・炎上が地方店舗のイメージに直接ダメージを与える
田中氏の対応: 「基本出ないようにしている」が、子供のために最近YouTube出演を検討中とのジョーク。
章5:顧客視点の入手法 ― 「習慣」に商品を入れる発想
竹内氏が「顧客視点はどうやって調査すればいいか」と質問した場面。
主張: 田中氏の見立てでは、「自分の商品が顧客のどの習慣/ルーティーンに入り込むかを定義できれば失敗確率が下がる」。
例(コーヒー):
- 朝起きた時に飲むコーヒーか
- 夜寝る前の落ち着くためのコーヒーか
- 仕事中の覚醒用コーヒーか
- ハレの舞台用の高級コーヒーか シチュエーション別に役割が違うため、商品コンセプトを使用習慣で定義する発想が必要。
例(OWNDAYSのメガネ):
- 「価格安・シンプル・壊れづらい」メガネ → 普段コンタクトの女性が家でリラックスして使う用
- それぞれのメガネにデザイナーがつき、「どの習慣シーンに置かれるべきか」のコンセプトを商品部で立てる
- ポスター/パッケージ/接客時のスタッフ説明まで、習慣シーンに合わせて全部設計する
田中氏の整理: 「単発で売れる商品」と「習慣化してリピートされる商品」を分け、後者を作れると売上が継続するというロジック。
章6:商品ラインナップの設計(階段と比率)
竹内氏が「ラインナップのこだわり」を尋ねた場面。
主張: 田中氏は「入門編〜上級編まで階段を設計する」「比率を意図的に決める」のが基本との立場。
OWNDAYSの比率(田中氏発言):
- 定番売れ筋商品: 30%
- 定番に遊び心/実験的要素を加えたもの: 30%(残りの内訳は動画内で言及なし)
- ※「数値は田中氏発言のまま、消化率を見ながら調整」と述べているが、すべての比率は言及されず
売れない前提の商品をあえて作る理由:
- 売れる商品ばかりに集めるとアパレルでは「みんな黒/茶色になる」など売り場が地味化
- 真っ赤・真っ黄色などのアイコン的商品を置くことでブランドキャラクターが立つ
- 例として「成田さん」(成田悠輔氏と推測されるが動画内で姓名は確認できず)の眼鏡が話題に挙がった
反論・補足: 田中氏は「いい商品ができた、で行き当たりばったりに商品を増やすのはビジネスが下手な人」「狙って売れるようにするのが大事」と整理。
章7:価格設計 ― 低価格スタートはスモールビジネスではNG
竹内氏が、堀江貴文氏の「焼肉では高単価部位が売上の大半」、猿田彦コーヒー大塚氏の「低価格帯が売上を支える」という両極の発言を引いて、OWNDAYSはどちらかを尋ねた場面。
主張: 田中氏は「OWNDAYSも低価格商品が支えているが、それは大手だから可能」「小さい会社/個人は低価格を絶対やるべきではない」というスタンス。
論理:
- 「低価格から始まったブランドは高く売れない」(田中氏の核となる主張)
- ユニクロが10万円のダウンを出しても誰も買わないが、ブランドが9800円Tシャツを出すと買われる、というロジックで対比
- 田中氏自身、OWNDAYSを買収した30歳当時は経験不足で「激安」戦略を取ったが、「もしタイムマシンで戻れるなら絶対安くしない」と現在の見立てを述べた
- スモールビジネスはまず単価の高いものをやり、拡大段階で低価格をブーストとして足すのが順序
反論・対話: 竹内氏は「高単価だと買ってくれる人が少なくなる」と懸念。田中氏は「300円コーヒー10人分と3000円1人分は売上同じだが、配送手間は1人分が圧倒的に楽」と応答。
章8:価格設定の心理 ― 原価アンカーから抜ける
主張: 田中氏の見立てでは、日本人特有の「デフレで育った世代の精神的アンカー」が価格を上げられない原因。
論理:
- 自分が買う側だとブランド品(例:エルメス)の原価を気にしない
- なのに売る側になると原価を気にして価格設定してしまう構造的な癖がある
- 「その金額で買ってくれる人がいるなら、それがその金額」という発想転換を提案
論点: 田中氏は「コーヒー1袋3000円と言えばいい」「自分が売るから3000円だと言えばいい」と竹内氏に挑発的に提案。竹内氏は「できないなあ」と保留。
章9:拡大の目的と「どこまで大きくしたいか」を問う
竹内氏が「3年で年商1億を目指している」と公言。
田中氏の応答:
- 「別にいいんじゃないですか。やればいい」と塩対応
- 「すごいともすごくないとも言わない」「大きくしないといけないわけじゃない」というスタンス
- みんなが上場や大企業を目指す必要はなく、自分が見れる範囲・利益が出る範囲で生活できればよいという立場
- 田中氏自身の最初の目標はOWNDAYSの「日本一/100店舗」、達成しそうになると300店舗、500店舗と段階的に上げていったエピソード
主張: 「自分はどうなりたいのか、どの程度大きくしたいのか(10店舗?日本中?スターバックス的に世界中?)を自分と対話して知るべき」というのが田中氏の整理。
章10:データ取得とポップアップ/EC
主張: 田中氏は「対面ポップアップはそこまで大事ではない」「ECの方がデータが取れる」との立場(動画後半の言及。詳細展開は字幕末尾切れにより限定的)。
根拠:
- 「メモ魔になって端から記録する」「今日の天気・気温・何時に何本売れたか思いつく全てを記録する」のがデータ取得の基本姿勢
- 顧客データの傾向が分かれば対策が立てられる、というのが田中氏の論
重要な固有名詞・データ
| 項目 | 内容 | 文脈 |
|---|---|---|
| 田中修治 | OWNDAYS会長。30歳でOWNDAYS買収、10年弱で再建 | 本対談のメイン論者 |
| 竹内由恵 | フリーアナウンサー、コーヒー事業起業準備中 | 聞き手・起業1年目 |
| OWNDAYS(オンデーズ) | 全国メガネ製造販売チェーン。買収当時は倒産寸前 | 田中氏の主事業 |
| 「社長がつまづく全ての疑問に答える本」 | 2025年12月出版予定 | 対談の起点になる書籍 |
| 田中氏のコンサル件数 | 約20社 | 社長退任後の活動 |
| 漫画喫茶(埼玉) | 田中氏が20歳の時に始めた事業(埼玉初) | キャリア初期のエピソード |
| エチオピア・イルガチェフェ | 竹内氏がビジネスで扱うコーヒー豆 | 起業の起点。丸山コーヒーで初めて飲んで感激 |
| 丸山コーヒー | 竹内氏がエチオピア豆を初めて飲んだ場所 | コーヒー起業の原体験 |
| 堀江貴文 | 焼肉ビジネスで高単価部位が売上大半 | 低価格戦略の対比例として言及 |
| 猿田彦コーヒー大塚(氏) | 低価格コーヒーが売上を支える、規模拡大で良質豆が仕入れられるとの発言 | 田中氏との対比例 |
| 成田(さん) | 印象的なメガネを着用していると話題に(成田悠輔氏と推測されるが動画内で姓名確認できず) | 売れない前提のアイコン商品の例 |
| OWNDAYSの定番商品比率 | 30%(定番)/30%(実験的)等の階段設計 | 商品ラインナップ設計の例。完全な内訳は動画内で言及なし |
| 田中氏のOWNDAYS店舗目標 | 100店舗→300店舗→500店舗と段階的に上方修正 | 拡大目標の組み立て方 |
| 竹内氏の事業目標 | 3年で年商1億円 | 田中氏に「塩対応」された場面 |
| ジャコウネコの糞(コピ・ルアク) | 高価格コーヒーのブランド素材例 | 高付加価値の付け方の話で言及 |
| ブルーマウンテン | 高価格コーヒーのブランド素材例 | 同上 |
アクションインサイト
- 田中氏の「失敗は共通している」という議論を踏まえると、自社/自事業の現状を「成功パターンの模倣」ではなく「典型的失敗パターンに該当していないか」の観点で点検する余地がある
- 田中氏の「低価格スタートはスモールビジネスでは禁物」の見立てを踏まえれば、新規事業を立ち上げる際にまず単価戦略から議論する習慣が重要になりうる(スモールビジネスは高単価から、拡大段階で低価格を追加)
- 田中氏の「商品を顧客の習慣に組み込む」視点を踏まえると、自社商品/サービスについて「いつ・どんなシーンで・どの習慣の中で使われるか」を商品ごとに言語化するワークが意思決定の解像度を上げうる
- 田中氏の議論を踏まえると、商品ラインナップに「役割定義」(顧客導入用/利益貢献用/ブランド表現用)を意図的に与える発想は、行き当たりばったりの商品増加を抑える運用ルールとして使える可能性がある
- 田中氏の「メディア露出が会社をステージ化する」という指摘は、経営者個人のSNS/YouTube戦略を社員から見た時のシグナルとして再評価する余地を示している(特に一般顧客向け事業)
- 田中氏の「自分が買う側だと原価を気にしないのに、売る側になると気にしてしまう」観察を踏まえれば、価格設定時に「買い手として自分なら払うか」の視点を意識的に挿入する余地がある
- 田中氏の「どこまで大きくしたいか自分と対話する」議論を踏まえると、事業計画策定の前に「上場/大企業化を目指すのか、個人規模で利益が出れば良いのか」を経営者本人が言語化する工程を入れる余地がある
引用したくなる発言
消えゆく社長は何だか結構共通してますよ。(田中修治氏)
低価格から始まったブランドは高く売れないですよ。(田中修治氏)
もし今自分がタイムマシンに乗ってあの時のスタートラインにもう1回戻るんだったら絶対安くしないですよ。(田中修治氏)
どうやったらうまくいきますかって言われても、それはわかんないんですよ。だけど意外と失敗は共通してるから。(田中修治氏)
安くするのはバカでもできるんですよ。(田中修治氏)
自分が買う側だと原価気にしないくせに、売る時になると原価気にして設定するんですよ。(田中修治氏)
いつか自分が目立つためのなんかステージが会社になっちゃって、そうなった時にその社長が目立つためのステージとしての会社をやらされている社員たちっていうのは……(田中修治氏、メディア露出社長について)
関連トピック
- OWNDAYS再建ストーリー(田中修治氏が30歳で買収、10年弱で再建)
- 田中修治著「社長がつまづく全ての疑問に答える本」(2025年12月出版予定)
- 堀江貴文氏の焼肉事業論(高単価部位が売上の大半)
- 猿田彦コーヒー大塚氏の低価格コーヒー戦略論
- 丸山コーヒー(エチオピア・イルガチェフェ豆)
- ユニクロの価格戦略(高価格ダウンと低価格Tシャツの非対称性)
- ジャコウネコの糞(コピ・ルアク)/ブルーマウンテンといった高付加価値コーヒー素材
- 商品ラインナップ設計におけるアパレル業界のアイコン商品論(売れない前提の真っ赤/真っ黄色)
- スターバックス(拡大目標を語る文脈での例示)